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2018/09/03

急成長 SaaS に求められる仕事とは

こんにちは、本間です。先日、SaaS 勉強会され、私の方から「急成長 SaaS からの教え」と題して発表しました。今回はその内容をまとめたのでシェアします。

海外では SaaS ビジネスを展開し、急成長を実現している企業が何社もあります。本記事では、急成長をしている SaaS を運営する中で意識すべきことについてまとめます。

求められるチームビルディング

起業してしばらく経ったスタートアップでは、経理や人事など直接ビジネスに関わりのない仕事を軽視して採用を怠る傾向があると言われています。このような仕事は、社員が20名以上になったら必ず設けるべき仕事の一つとなります。

しかし、人材の採用に関しては慎重になるべきです。では、どのような基準で、新しい人材を採用をすべきなのでしょうか。

1. 企業文化

企業が何のために存在し、何をするのか。これは企業によってそれぞれ全く異なります。この制定した企業文化に共感し、共に働けるメンバーを採用すべきだと言われています。企業文化に合った人材は、以下のような利益を会社にもたらします。

  • 文化がさらに強固なものになる
  • 正しい人が会社に残り続ける
  • チームワークが増す
  • より良い仕事環境が生まれる
  • プロダクトが正方向に成長する

当然、企業文化にマッチしない人材は、この反対が起こってしまうことになります。急成長 SaaS がさらに加速して成長していくのか、そこで成長が止まるのかは、次に採用する人材によって大きく左右されます。

その中で企業が陥りがちなミスとして、「残す必要のない文化をこだわって残し続けてしまう」という点があります。それらの項目は、新しく人を採用する上での障壁となりかねませんし、存続する意味のない企業文化を残し続すことで成長が鈍化してしまうリスクがあります。あくまで残すべき文化は、企業として絶対に残さなければならないものに絞っていくべきだと言えます。また、人が増えたりサービスが大きくなるにつれて、企業文化も適切に変わっていくべきだと言われています。自社にとって最適な文化とは何か、定期的に振り返ってみると良いでしょう。

2. ダイバーシティ

人材は、企業文化にマッチしながらも幅広いタイプの方を採用すべきです。

企業にダイバーシティがあると、より困難な課題解決を提供できるようになります。様々な経験を持つ方からの視点や意見は、幅広いユーザー層の課題解決に大きく役立ちます。そして、より幅広い顧客層をターゲットにすることができ、デザインや機能としてプロダクトに反映させることが可能になるでしょう。そうすれば、 SaaS にさらなる急成長が期待できます。

また、様々なタイプの従業員がいると、それが一つの企業の特徴となって、次の新しいタイプの従業員が入社しやすい企業を作ることができます。男性のみ30人の企業と、男女15:15 の企業があった場合、新しい女性社員が入社しやすいのは後者でしょう。そして、ダイバーシティのある企業は、一般的に優良企業であるという共通認識があります。企業のブランディングの一つとしても、ダイバーシティのある採用によって多くの利益を享受することができるでしょう。

マーケティング手法

どんなに良いプロダクトを持っていたとしても、マーケティングを正しく行わなければ人がプロダクトを知るきっかけを得ることができません。SaaS においてはカスタマーサクセス等の既存顧客の重要性が多く語られていますが、急成長のためにはマーケティングを通じて多くの新規ユーザーにもサービスを知ってもらう必要があります。

では SaaS におけるマーケティングには、どのようなタイプがあるのでしょうか。以下の5つがあると言われています。

  • Growth Marketing: 分析ベースのマーケティング. オンライン広告、メールマーケティング、SEO、バイラルマーケティング、ファネル最適化など
  • Product Marketing: 顧客の声や機能リクエスト、ユーザーテスト、インタビュー、競合分析、グッズの作成など
  • Brand Marketing: ブランド意識や認知、ロゴや他のデザイン要素など。会社のブランドに貢献
  • PR and Communications: ストーリー作成、プレス対応、イベント、ネットワーキング、アワードプログラムなど。
  • Hiring Marketing and PR Teams: 採用マーケティング。ストーリーを伝える、ポジショニング、プロセス管理など。

数多くのマーケティングがある中で、企業はどれにフォーカスして進めていくべきなのでしょうか。これは企業文化や事業内容によって大きく変わっていきます。その中でもとりわけ SaaS のマーケティングでは、企業の持つニーズの深い知識が重要だと言われています。課題やニーズを持っている企業はどこにいるのかを把握できれば、マーケティングによって大きな獲得効果が期待できます。

顧客へのプロダクト説明を社員全員が同じ見解で説明できるかどうかも重要です。今一度、自社プロダクトのモチベーションや、課題解決、ターゲットについて全社員が意識を統一するための話し合いの時間を取ってみてはいかがでしょうか。

プロダクトマネジメントの視点

SaaS で急成長をしていたとしても、いつその成長が止まるのかはわかりません。同じソリューションの SaaS が台頭してきた場合、いとも簡単に勢いが崩れ去っていってしまいます。そんな中で急成長を続けるために必要な点の一つとして、「サービスの多角化」が挙げられます。

Microsoft は Windows の OS だけで現在の地位を確立することができたかといえばそうではありません。Windows の OS のなかで、Microsoft Office や Internet Explore など、より便利にコンピュータを利用できるようにするためのソフトウェアを通じて多角化を続けています。現在ではクラウド事業の Microsoft Azure なども、勢いを増しています。

急成長を続けるには、イノベーションを起こし続けなければなりません。現状の成長で満足するのではなく、次なる成長を生む上で足りない機能やサービス要素は何か、常に考えを巡らせるようにしたいところです。

終わりに

本記事は、SaaS 勉強会 #2 で発表した内容を記事にしたものです。

また、以下の本が本記事のベースとなっております。主に資金調達やメンバー集めなどが詳しく書かれています。もし急成長を目指す企業を興したのであれば、一読する価値はあるでしょう。

High Growth Handbook